起業 / 法人設立

起業 / 法人設立

個人事業 vs 法人

起業する場合、個人で起業する場合と法人を設立して起業する場合がありますが、以下の様にそれぞれメリット、デメリットがあります。
各々のメリット、デメリットを考慮して、起業する方法を検討してください。
なお、当法人には行政書士、税理士、弁護士及び公認会計士が在籍しているため、当初の設立申請だけでなく、設立後の税務、法務のアドバイスも総合的に提供しております。

個人事業で起業

メリット① 費用が安い
② 手続きが簡単(税務署に開業届出を出すだけ)
デメリット① 対外的な信用を得られない
② 都市銀から借入が出来ないことが多い
※ 自己資金があれば個人でも審査にあまり影響は無いようです
③ 事務所を借りることが難しい
④ インターネット上のショッピングモールで出店出来ない等一定の取引が制限される

法人で起業

メリット① 対外的な信用が得られる
② 一定の規模以上の場合、税金が安くなる
③ 設立後2期の間、消費税がかからない場合がある
④ 事業継続・事業承継がスムーズ
デメリット① 設立、維持に費用がかかる
② 手続きが煩雑

なお、現在、犯罪収益移防止法などの関係で、登記後に新たに設立した法人の銀行口座を開くのには、銀行がその法人の事業実態を調査するため事務所の賃貸借契約を提出させたり、審査に相当の時間を要する様ですので、スケジュール管理等にはご注意ください。

法人の種類と特徴

日本において一般的な法人の種類としては、「株式会社」と「合同会社」があります。以下の様にそれぞれメリット、デメリットがあります。
各々のメリット、デメリットを考慮して、法人の種類を検討してください。

株式会社

メリット① 対外的な信用が高い
② 認知度が高いため、通常、取引が制限されない可能性が高い
デメリット① 合同会社に比べて、設立費用が高い
② 株主総会、取締役会など機関設計、運営が煩雑
※ 当法人は株式会社の設立についても、合同会社とほぼ同じ費用で設立をお手伝いしております

合同会社

メリット① 株式会社と比べて、設立費用が安い
② 株主総会、取締役会など機関設計、運営が簡素
③ 設立手続きが簡単(定款も簡素化が可能)
④ 利益の配分等について柔軟な設計が可能
⑤ アメリカの税務上有利(米国外資系で合同会社が多いのは、このためです)
デメリット① 株式会社に比べて認知度がないため、対外的な信用は低い
② 相手が株式会社との取引を希望する場合、一定の取引が制限される
※ 合同会社は米国LLCをモデルとして作られた制度ですが、米国LLCの様に構成員課税(パススルー課税)はなく、法人の段階で課税されます
③ 合同会社の制度が出来てから歴史が浅いので、実務が確立されていない

法人の作り方

株式会社

  1. 設立費用
    • (a) 定款認証等 : 収入印紙40,000円+認証手数料50,000円+交付手数料2,000円程度
    • (b) 登録免許税 : 最低150,000円(資本金の0.7%を超える場合はその金額)
    • (c) 登記簿謄本交付手数料 : 600円(1通当たり)
      (d) 専門家報酬 : 通常50,000円
      ※当法人と顧問契約を締結される方は割引がございます
      (e) (a)~(d) 合計 約300,000円
      ※ その他に印鑑代などが必要です
      (但し、令和3年から一部の書類は押印が廃止され、電子証明も導入されています。)
  2. 設立準備
    (a) 本店所在地(登記上の住所)を決めます。
    ※ 居住しているアパート等の場合、大家さんの許可を取ること等注意が必要です
    (b) 商号を決めます。
    ※ 同じ市町村に似た会社が無いかを確認します
    (c) 事業の目的を決めます。
    ※ 法律違反にならない様に、許認可が必要な事業かどうかを事前に確認します
    (d) 資本金の額を決めます。
    ※ 1円以上で可能ですが、税務上、業法上、対外的な信用度を考慮して決めます
  3. 機関設計
    一番単純な形式は取締役が1人です。
    但し、家族等に役員候補がいる場合は、機関設計に工夫し、税務上及び会社法上のメリットを受けられる場合があります。
  4. 定款作成
    上記②「設立準備」及び③の「機関設計」で決定した内容を定款に記載します。
    ※ 可能な限り定款に記載し、その他の登記申請用紙を減らすことがポイントです
  5. 定款認証
    上記④「定款作成」で出来た定款を公証役場に持ち込み、認証を受けます。
    (株式会社は、令和3年からオンライン又は 6. 登記申請 と同時申請が可能になりました。)
  6. 設立登記申請
    ⑤で認証された定款及びその他の書類と共に登記申請します。
    ※ 個人の印鑑と登録する法人の印鑑があるので、注意して押印します
  7. 登記完了
    上記⑥の申請後、1週間前後で登記が完了します。
  8. 印鑑カードの作成
    法人の代表印につき、カードで印鑑証明書が取れるようにします。
    (但し、令和3年からオンラインによる印鑑の届出が可能になりました。)

合同会社

  • 設立費用
    (a) 定款等 : 収入印紙40,000円+交付手数料2,000円程度
    ※ 合同会社の場合は認証手数料が不要です
    (b) 登録免許税 : 60,000円
    ※ 株式会社の場合と比較し、90,000円減ります
    (c) 登記簿謄本交付手数料 : 600円(1通当たり)
    (d) 専門家報酬:通常50,000円
    ※ 当法人と顧問契約を締結される方は割引がございます
    (e) (a)~(d) 合計 約160,000円
    ※ その他に印鑑代などが必要です設立準備
    (但し、令和3年からオンラインによる印鑑の届出が可能になりました。)
  • 上記「株式会社」と同様です。
  • 機関設計
    一番単純な形式は業務執行を行う代表社員が1人です。
    株式会社の様に株主総会を開催する必要が無い為、株式会社と比較して単純な機関設計も可能です。
  • 定款作成
    上記②「設立準備」及び③の「機関設計」で決定した内容を定款に記載します。
  • 定款認証
    合同会社の場合は、不要です。
  • 設立登記申請
    ④で作成され、押印された定款及びその他の書類と共に登記申請します。
    ※ 個人の印鑑と登録する法人の印鑑があるので、注意して押印します
  • 登記完了
    上記⑥の申請後、1週間前後で登記が完了します。
  • 印鑑カードの作成
    法人の代表印につき、カードで印鑑証明書が取れるようにします。
    (但し、令和3年からオンラインによる印鑑の届出が可能になりました。)

設立後の届出他

税務署宛

  1. 法人設立届出(法人が設立したことを税務署に報告する届出)
  2. 給与支払事務所開設届出書(法人が給与等を支払い、源泉税が発生する旨を報告する届出)
  3. 青色申告の承認申請書(法人が税務上のメリットを受けるための届出)
    ※ 提出期限に注意(設立の日以後3ヶ月後又は設立第1期終了日のいずれか早い日の前日)
    → したがって、決算期(事業年度)は提出期限も良く考えて決めましょう
  4. 源泉税の納期の特例届出(源泉税の支払を年2回にするための届出)
  5. 申告期限の延長の特例の申請(法人税の申告書の期限を1ヶ月伸ばすための届出)
    ※ 合同会社にも申告期限の延長は認められますが、株主総会の招集がない等、株式会社とは少し異なります

都税事務所 / 市町村 宛

  1. 法人設立届出(法人が設立したことを都税事務所、市町村に報告する届出)
  2. 申告期限の延長の特例の申請(地方税の申告書の期限を1ヶ月伸ばすための届出)

起業後(借入その他)

一般的には、以下の方法が考えられます。
いずれの方法による借入でも、事業計画は必ず必要になり、借入だけでなく、事業拡大や税務面からも、事業計画の作成は重要です。
また、事業計画で重要なのは、市場分析、実現可能性、一貫性、理論武装そして熱意です。
当法人では東証マザーズ上場のベンチャー企業での経験を有するパートナーが在籍しており、起業前の段階からの事業計画の作成もお手伝いしております。

日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)

メリット① 敷居が高くない
② 全国に支店がある
③ 借入の種類が多い
デメリット① 形式的な審査、過去の実績が重視される
② 大口の設備投資用の借入は難しい

制度融資(民間の金融機関の借入+信用保証協会への保証料)

メリット① 各金融機関から申し込める
② 複数の金融機関の条件を比較できる
③ 東京都の制度を利用すると保証料が割り引かれる
デメリット① 従前より金融機関との付き合いが必要
② 実績のない金融機関からの借入は難しい
③ 担保のない大口の借入は難しい

助成金

メリット①返済不要
②国、都道府県など申請窓口が多い
デメリット① 申込が多数の場合、競争、審査が厳しい
② 公募期間が限定されている(公募の状況を随時調べる必要がある)
③ 助成金の使途について報告する等一定の要件が課される

日本支店の作り方

外資系企業の場合、事業上の理由又は戦略上の理由により、株式会社等の日本の現地法人ではなく、外国法人(海外に本店を有する法人)の日本支店を設置する場合もあります。
日本支店の場合、税務上は日本の現地法人と同じ取り扱いが多いのですが、一部に特殊な制度や取扱があり、また本店からの情報入手が困難な場合もあるので、設立後の運営には一定の注意が必要です。

海外法人の作り方

日本よりも設立に係る費用を抑えるため、米国など海外に法人を作る場合もあります。
また、最近では日本の法人税率より低い地域、特にアジアの地域に法人を設立して節税を図るケースも見受けられます。
外国法人の場合、基本的には海外の税法により課税されますが、租税条約、移転価格、タックスヘイブン税制など特殊な制度や取扱があり、実質的に日本で事業運営を行っているとみなされる場合には、日本で課税される場合もあるので、安易な海外への事業移転は注意が必要です。
当法人には外資系会計事務所で経験を有するパートナーが複数在籍しておりますので、この様な海外への展開を計画されている方は、事前にご相談頂ければと思います。